奇跡の畑

 僕が借りている畑のうち、一か所だけ、他とは全く違う畑(ここから畑A)があります。

 畑Aは、地主さんが10年以上草が生えないように毛布やシートなどでカバーがしてあり、借りる前はこんな状態でした。


 ここを、父の助けも借りつつ、1枚づつカバーをはずし、10年以上閉ざされていた土と顔を合わせました。作業をしていながら感じたのが土がフカフカだということ。そして、色は黒っぽく肥えているのがなんとなくわかりました。


 僕が借りている他の部分の畑は、それまでリンゴやサクランボを栽培していて、果樹栽培事業が終わった後はソバが植えられていました。リンゴやサクランボの木を抜く作業、ハウスの撤去作業、大型機械によるソバの耕うん、刈り取りなどで、畑の地下20センチ以下のところには硬盤ができていて、肥料もソバ栽培により足りなくなっており大変やせています。


 そして、就農直後の土壌診断で2か所の畑の違いが数字となって表れたのです。これは、僕が借りている畑のうちの約10%(1000㎡)のこの畑Aを大事に使っていこうと決意しました。


 そして、僕は1つのことを決めました。それは、決して畑Aを耕さないということ。厳密にいえば、掘り起こさない。極力耕すのは表面だけ。

 なぜかというと、掘り起こしてしまったら、

①深い部分にある雑草の種子を巻き上げてしまい、表面の土に雑草が少ない状態をキープできなくなる。

②長年かけて作られた土の団粒構造、微生物群を破壊してしまう。

 ことになるからです。


 でも、重石や雨による重みのせいか、土が詰まっている感じがしたので、植え付けの前には必ずBroad Forkという土起こし機を使って、地中の風通しを改善することにしました。この農機具は、土をひっくり返すことなく、ただ持ち上げておろすだけなので、構造の破壊や地中の雑草の種をまき上げることはありません。(使っている様子はホーム画面の動画で!)


 ここから、ニンジン、ダイコン、カブ、小松菜、レタス、ルッコラ、ホウレンソウなどを栽培してきましたが、ニンジンやダイコンの根っこはまっすぐ伸び、カブや小松菜もおいしいと好評です。特にニンジンはマルチをしたり、太陽熱処理をしないと、発芽後の芽が雑草の勢いに負けてしまいますが、畑Aは軽く立鎌で除草しただけで、雑草が抑えれrています。



 肥料もあげず、トラクターで耕しもせず立派に野菜が育つこの畑Aを、僕は最近神様から送られた奇跡の畑と割とガチで思って、これから農業ができなくなるまで大事にしていこうと思っています。


 そして、9割を占める他の部分の畑も畑Aのようになるように、これから5年、10年と長い年月をかけて土づくりをしていきます。

 具体的には、やはり耕さないこと。緑肥による硬盤の破壊、マメ科植物による空気中の窒素固定、それらのすきこみ。をメインにやっていき、羊・ヤギ・鳥・豚・牛などの導入による草管理と土壌肥沃化もやっていけたら!とリアルに考えています。


 近所を見回すと、畑に草が生えないようにトラクターで耕しているのをよく見かけます。耕した直後はまっさらできれいに見えますが、1週間もすればまた新たな雑草が生えてきます。トラクターで耕せば耕すほど、土壌の構造や微生物は失われ土はだんだん痩せていきます。ガソリンは食うし。雨が降らない日が続くと、そういう畑の土は白っぽくカピカピでひびが入っています。結局はいたちごっこで問題を先送りにしているだけなのではないかと思います。

 

 でも、手作業で表面を除草するよりもトラクターの方が楽だしみんなそうしているからそうなっているのでしょうね。


 すこし話が横にそれてしまいましたが、今は畑を通り過ぎる人から怪訝な目で見られている、トラクターを使わないこのスタイル。土の健康は土の中の微生物の健康。初志貫徹して、少しでも真似してみようと思ってくれる人が増えるようにがんばります。

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